明太子の語源は朝鮮、ロシア、中国どれ?
明太子の語源は、「朝鮮語」にあるらしい。
でも「明太子という言葉の語源は、朝鮮にある」という人もいれば、「明太子の語源はロシアから来た」という人もいます。
うーん。どちらが本当?
また、中国語と日本語の「明太子」はそっくりなので、明太子は、中国語が由来の語源ということもありえるかもしれない。
気になりすぎて、明太子が喉を通らん!!
というわけで、明太子の語源を、いくつかの説を元に検証していきましょう。
明太子の語源は朝鮮語「ミョンテ」説
明太子は、韓国由来の食べ物というのが通説。
明太子という食品は、「朝鮮半島から輸入したものだ」という話ですね。
この説によると、1800年ごろから、朝鮮の人たちは、スケトウダラの卵巣を調理したものを食べていたらしい。
やがて日露戦争が終わり、韓国からスケトウダラの卵巣の辛子漬け「明卵漬」が輸入されます。これを日本人が呼び方を変えて、「明太子(めんたいこ)」と呼びはじめ・・・・・・。
これが、明太子の朝鮮(韓国)語源説なのです!!
「明卵漬」は、カタカナ読みにすると「ミョンランチョット」。韓国語では「明=ミョン」と発音します。これを「明=めん」と読むようにしたのが日本人というわけですね。
明太子という食文化が朝鮮由来であることが正しいなら、明太子の朝鮮語源説は、最も可能性がたかいと言えます。
明太子の語源はロシア語「ミンタイ」説
一方ロシアでは、スケトウダラのことを「минтай」と書き、「ミンタイ」と読みます。
ミンタイとめんたい・・・そっくりじゃないか!!
ならば明太子という言葉は、ロシア語由来なのでは?
というのが、明太子の「ロシア語源説」なのです。
実際にロシアも面するベーリング海は、スケトウダラの主要産地でした。ベーリング海で使われていた「ミンタイ」という言葉が各国に広まった、というのは信ぴょう性のある話ですね。
ただし、これはあくまで「語源」の話。食文化としての「起源」が韓国にあるというのは変わりません。
以上をまとめると、「朝鮮での明太子文化」がロシアに伝わり、そこで「ミンタイ」という言葉が生まれ、そこから各国に広まったという説というわけです。
ロシア語源説は、可能性としてはあり得るかな、という程度だと思いました。
明太子の語源は中国語「明太鱼」説
では、中国では明太子をなんと呼ぶのか?
中国では、明太子のことを「明太鱼(明太魚)」といいます。
「明太」は、今の中国語ではピンイン表記で「míng tài」と書き、「ミーンタイ」と読みます。
あれ? ロシアの「минтай(ミンタイ)」とそっくりじゃないか!!
ということは、
- 朝鮮の食文化
- 中国で言語化
- ロシアと日本に広まる
という仮説もあり得るわけですよね。
これが、明太子の中国語語源説です!!
しかし中国では、古くから「明太(ミンタイ)」という言葉が使われていた痕跡はないようです。つまり、あくまでもロシアか朝鮮からやってきた外来語を「明太(ミンタイ)」と名付けたに過ぎないということですね。
なので中国語源説は、いちばん可能性が低いと言えます。
英語圏での明太子の呼び方は?
さて、日本語の「明太子」は、日本独自の外来語です。
では英語圏では、同じく外来語として、どのように明太子を表現しているのでしょう。
明太子を英語でいうと?各国の明太子とたらこの呼び方が面白すぎる【中国語・韓国語・ロシア語・ローマ字】
明太子を英語でいうと、「spicy pollack roe」です。「スパイシー・ポラック・ロウ」と読みましょう。
Spicyで「辛子」、pollackで「魚の」、roeで「卵」となり、合わせて「明太子」の意味になるわけですね。
明太子は元々スケトウダラっていう鱈(たら)の卵なので、魚全体を示す「fish」ではなく鱈系の魚を意味する「pollack」が使われてます。卵も大きな一つの卵を言うなら「egg」ですが、魚の体内にある無数の卵の場合は「roe」を使うわけです。
これで「辛い鱈の卵」という意味の英語になります。「辛い鱈の卵=明太子」ということですね。
英語では、明太子のことを「spicy pollack roe」と呼ぶそうです。上の記事で、他の英語表記もご紹介してますが、ロシア語とも中国語とも、ましては日本語とは全く似ていませんねぇ。
英語と他の国の「明太子」が違うのは、外来語の成り立ち、文字の当て方が「そもそも日本や中国と違う」というのも、理由の1つですね。
英語はそもそも欧米発の言語ですから、地理的に遠い太平洋の地域との関係は薄いのです。
日本での明太子の呼び方は?
日本語の明太子についても、見ていきましょう。
明太子という言葉の意味
明太子とは?この質問に対して「辛子明太子だ」と答える人と「タラコだ」と答える人がいます。
なぜこの違うが生まれているのでしょうか?
それは、ひとえに「明太子」と言っても、実はいろいろな意味で使われているからです。
本当に同じ?明太子とたらこの違いを徹底調査してみたぞ【方言・値段・添加物・塩分量】
辛子明太子というのは、1949年に明太子メーカー「ふくや」の創業者川原俊夫氏が発明した商品。その後、辛子明太子は博多名物となり、新幹線の開通によって、全国に広まっていきました。
全国の人が「辛子明太子」という言葉を知ったのはそのときです。
そして辛子明太子は、現在のように食卓に並べられ親しまれるようになり、呼び方も「辛子明太子」から「明太子」に略されるようになりました。
発祥の地と、後から普及した地域とで明太子の意味の違うのは、そんな経緯が原因なのです。
博多(九州地方)での明太子の意味
一方、博多では、新しく誕生した辛子明太子と区別する意味で、タラコを「明太子」と呼ぶ習慣があります。明太子といえば、たらこを意味するのはこのためです。
そもそも語源的に、「明太」は原料のスケトウダラを意味します。たらこもスケトウダラの卵巣を調味した食品ですから、「スケトウダラの子=明太子」と呼ぶのはなんら間違いではありません。
この場合の「明太子」は全国的な意味での「明太子」とは違いますね。
博多では「明太子はタラコ」、全国的には「明太子は辛子明太子」と覚えておくといいでしょう。
このように、実は日本でも「明太子」には様々な呼び方や由来があります。他にも、関東以北では、たらこを「紅葉子」と呼ぶ習慣もあります。
上の記事のなかで、明太子とたらこの詳しい違いをご紹介しています。興味がある方は、ぜひごらんくださいね。
歴史でみると明太子の語源は韓国か?
では最後に、明太子の歴史的な背景にも触れておきます。
実のところ、朝鮮を起源する明太子ですが、すんなりと日本で普及したわけではありません。
今、当たり前のように食べている明太子は、長い歴史の中、少しずつ進化したからこそ、現在のような美味しさを手に入れることができたのです。
これが明太子の歴史だ。明太子の起源と元祖明太子のルーツを追う!【めんたいこパスタの起源】
日本が朝鮮半島を占領しようとする頃、1人の日本人の男「樋口伊都羽」が辛子明太子を商品として販売をはじめるんです。
これも今の明太子とは違い、上記の「唐辛子と一緒に塩漬けしたスケトウダラの卵巣」というタイプの明太子です。朝鮮の人が自家消費していた明太子をそのまま販売したんですねぇ。
しかし、戦争が終わるにつれ、樋口伊都羽の明太子は人気が落ち、明太子は次の時代に突入していきます。
(中略)
太平洋戦争が終わると、老舗明太子メーター「ふくや」創業者の川原俊夫氏が新たな明太子を開発します。川原俊夫氏が開発したのは、
『漬け込み型辛子明太子』とよばれる明太子。
この明太子はスケトウダラの卵巣を辛味調味料で漬け込む方法により製造されます。ただ漬け込むだけではなく「乳酸発酵」もおこなわれます。現代の明太子と同じですね。
この記事のなかでは、現在の明太子が「なぜ博多名物になったのか」もまとめています。
現在の明太子は、まぎれもなく、日本人が発明したもの。語源こそ、朝鮮語やロシア語から流れてきたものですが、今の明太子はまさに「世界に誇る日本食」といえるでしょう。
当サイトも、たくさんの明太子を食べ、本当に美味しい明太子を皆さまにご紹介していけるよう頑張っていきます。
ぜひ当サイトのおすすめする明太子を、一度味わってみてくださいね。

カミイチ ダイスケ

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